大学・研究機関へのテレアポ — AI教材を教授に提案する攻め方
大学へのテレアポは「異世界」
一般企業へのテレアポとは勝手がまるで違う——大学や研究機関へのアプローチはそんな世界だ。
まず、受付が企業と違う。大学の代表電話は事務職員が出るが、個別の教授につないでもらうには「学部名+教授名」の指名が必要になる。そして教授は授業や研究で多忙、電話に出られる時間帯が限られる。さらに、教授は営業トークに慣れていない分、露骨な売り込みには強い拒否反応を示す。
ただし、大学向けテレアポにはコツがある。企業向けとは違うルールを理解すれば、意外とアポは取れる。
受付突破 — 「上場企業」の看板と教授名の指名
大学の受付を突破するには、信頼性の提示+教授名の指名がセットで必要だ。
「こちら、東証プライムに上場しております某IT企業の山下と申します。〇〇学部の〇〇先生にお取次ぎいただけますでしょうか」
ポイントは2つ。
- 「上場企業」で信頼性を示す: 大学事務は「怪しい業者ではないか」を最も気にする。上場しているという事実は、それだけで一定の信頼を獲得できる
- 教授名を指名する: 「担当者はいますか」ではなく「〇〇先生」と名前で呼ぶ。事前にHPで学部と教授名を調べておくのは必須
要件を聞かれたら:
「弊社が大手電機メーカーとAI・IoT開発に携わっている会社でございまして、〇〇先生がAIやデータサイエンスのご研究をされているかと思い、ご相談でご連絡させていただいたのですが」
**「ご相談」**という言葉がいい。「ご案内」「ご提案」は営業だが、「ご相談」は対等な関係を暗示する。教授にとって「相談がある」と言われれば、少なくとも一度は聞いてみようという気になりやすい。
不在時の対処法
教授は授業中で不在のことが多い。このとき:
「〇〇先生、何時限目がお手すきでいらっしゃいますか?」
事務職員に時間帯を聞いておけば、次回のコール時に確実に捕まえられる。企業のテレアポでは「また改めます」で終わりがちだが、大学では時間帯の確認が鉄則だ。
教授へのトーク — 「提案」ではなく「ディスカッション」
教授につながったら、絶対にやってはいけないのが**「売り込み」**だ。教授は営業を嫌う。
「我々が大手電機メーカーとAI・IoT開発をしておりまして、某国立大学様や某工科大学様で、実際に機械を動かしながらAI・IoTを学べる国内唯一の教材を提供させていただいているんですね」
ここでのポイントは3つ。
1. 導入大学名を出す(匿名可)
「某国立大学様や某工科大学様で」
教授にとって、他大学が導入しているという事実は大きい。「あの大学が使っているなら」という横並び意識は、企業の「競合が導入している」と同じ心理だ。
2. 権威付けを入れる
「文部科学省のAI教育プログラム認定制度に対応した実践的な教材」
省庁の認定は大学では絶大な効果を持つ。研究費の獲得やカリキュラム認定に関わるため、教授は行政の動きに敏感だ。
3. 「教材提案」ではなく「ディスカッション」
「一度、弊社の講師と〇〇先生にディスカッションのお時間をいただければと」
営業担当ではなく**「講師」**を前面に出す。教授にとって営業と話すのは面倒だが、同じ技術領域の専門家との対話なら価値がある。そして「ディスカッション」という言葉は、一方的な説明ではなく双方向のやり取りを示す。教授の研究について聞き、その中で教材の話をする——このスタンスが重要だ。
ヒアリング — 教授の現状を把握する
「ちなみに、AIやIoTの講義は先生のほうで資料などご用意されていらっしゃるのでしょうか」
このヒアリングで、教授が自前で教材を作っているのか、何かツールを使っているのかがわかる。自前で苦労して作っているなら、「負担を減らせますよ」という切り口が効く。
反論への切り返し — 社会課題に転換する
教授が乗り気でないときの切り返し:
「こういう仕事をしていると、AI関連の日本の人材が本当に少なくて、大手メーカーも我々も大変な危機感がありまして。大学では実践的な学びの場になっていないという課題が、今回の教材開発のきっかけになったんですね」
「教材で利益を得る話ではなく、日本のITの未来を考えての話です」——このフレーミングは強い。教授は社会的意義に弱い。個人の利益ではなく、教育の質向上や人材育成という大義を前面に出すと、「一度話を聞いてもいいか」となりやすい。
アポ取り — 日程は「少し先」で提示
「来週の〇日か、お盆明けの〇日あたりで、30〜40分ほどZoomでディスカッションできればと思いますが」
大学の教授は研究・授業スケジュールが詰まっている。少し先の日程を提示するのがコツ。「明日か明後日」だと「急すぎる」と断られるが、1〜2週間先なら調整しやすい。
まとめ
大学・研究機関へのテレアポは、企業向けとはルールが違う。
- 上場企業の看板+教授名指名で受付を突破する
- **「ディスカッション」**のポジションで教授の警戒を解く
- 他大学の導入実績+省庁認定で権威付けする
- 社会課題(人材不足・教育の質)をフックに使う
- 日程は少し先で提示する
大学はリードタイムが長いが、一度導入が決まると継続率が非常に高い。長期戦を前提に、丁寧なアプローチを心がけたい。
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