法改正をフックにしたSaaSテレアポの切り口|電子帳簿保存法の事例で解説
法改正は「テレアポの最強フック」になる
テレアポで最も辛いのは、相手が課題を認識していないときだ。「困っていない」と言われたら、そこから先に進むのは至難の業になる。
しかし法改正や制度変更が絡むと話は別だ。対応しなければ法律違反になる可能性がある。これは「困っている・いない」の問題ではなく、「やらなければいけない」の問題になる。
SaaS商材のテレアポでは、この法改正をフックにしたアプローチが極めて有効だ。電子帳簿保存法やインボイス制度、個人情報保護法の改正など、ネタには事欠かない。今回は電子帳簿保存法を例に、具体的なトーク設計を見ていく。
受付突破: 「法対応の件」は通りやすい
受付に対して「電子帳簿保存法の件でご連絡しました」と言うだけで、通過率が格段に上がる。なぜか。
- 法律の話は受付が判断できない: 「うちには関係ありません」と言い切れる受付はほぼいない
- 「法対応」は緊急性を感じさせる: 営業電話より優先度が高いと判断されやすい
- 法務・総務部門への取り次ぎが自然: 「法務か総務のご担当者をお願いします」と具体的に言える
例えばこんなトークだ。
「来年の1月から義務化されます電子帳簿保存法に関してのご連絡でして、法務もしくは総務のご担当者様をお願いできますでしょうか」
「義務化」というワードが入ることで、「これは聞いておかないとまずいかも」という心理が働く。受付突破率は通常の営業トークと比べて2〜3倍は変わってくる。
担当者トーク: 「権威」と「実績」で信頼を作る
担当者に繋がったら、最初に信頼の土台を作る。SaaSツールの説明をいきなり始めるのではなく、自社の権威性を示すワンフレーズを入れる。
「弊社は大学との共同研究を行っておりまして、AIを使った契約書管理システムの特許を取得しています。現在、大手通信会社様やレジャー大手様にもご導入いただいているのですが」
大学との共同研究、特許取得、大手企業の導入実績。この3つのファクトを15秒以内に伝えることで、「信頼できる会社かもしれない」という印象を植え付ける。
その上で、相手の状況を確認する。
「御社では契約書の管理や電子帳簿の保存について、何かツールは導入されていますか?」
この質問で3パターンに分岐する。
パターン1: 何も導入していない場合
「まだ対応されていないということですね。来年1月の義務化まで時間がありそうで実はあっという間ですので、他社様の事例も含めて一度情報提供させていただければと思います」
パターン2: Excelで管理している場合
「Excel管理ですと、台帳の作成や書類の検索に時間がかかっていませんか?弊社のシステムですと、AIが契約書の内容を自動スキャンして台帳を作成しますので、作業時間が95%近く削減できた事例もあります」
パターン3: 既に他社ツールを導入している場合
「既にツールをお使いなんですね。現状のツールで電子帳簿保存法への対応は完了していますか?法要件が更新されることもありますので、現状の確認も含めて情報提供できればと思います」
どのパターンでも、「情報提供」「事例共有」というポジションを崩さないのが重要だ。
「間に合っています」への切り返し
法改正フックのテレアポで最も多い断り文句が「もう間に合ってます」だ。この場合の切り返しはこうなる。
「対応されているとのこと、承知しました。ただ、電子契約サービスとの連携や過去の書類整理、Excel管理の工数削減といった部分で、ご担当者様の業務負荷を軽減できる可能性はあるかもしれません。そのあたりも含めて、御社に近い企業様の活用事例をお伝えできればと思いますが、来週の〇日と〇日ではいかがでしょうか」
ポイントは、「法対応」から「業務効率化」に論点をシフトすること。法改正への対応は終わっていても、業務の効率化が完璧にできている会社はほとんどない。切り口を変えることで、会話を続けるチャンスが生まれる。
ヒアリング項目を準備しておく
アポが取れたら、以下の項目をテレアポの段階でヒアリングしておくと、当日の提案精度が上がる。
- 現状の管理方法: 紙、Excel、クラウドサービスのいずれか
- 契約書の枚数: 月間の発生枚数と累計の管理枚数
- 課題感: 検索に時間がかかる、紛失リスクがある、担当者が属人化しているなど
- メールアドレス: オンライン面談のリンク送付用
特に契約書の枚数は、提案時の費用対効果を算出する上で必須の情報だ。「月に何枚くらい契約書が発生しますか?10枚以上でしょうか?」と聞くだけで、だいたいの規模感が掴める。
法改正フックが使える他の商材例
電子帳簿保存法以外にも、法改正をフックにできるSaaS商材は多い。
- インボイス制度 → 請求書管理ツール、会計ソフト
- 改正個人情報保護法 → 情報セキュリティツール、同意管理ツール
- 働き方改革関連法 → 勤怠管理システム、プロジェクト管理ツール
- 改正育児介護休業法 → 人事労務管理ツール
共通するのは、「対応しないとリスクがある」というトークが使える点だ。テレアポ担当者は、自社の商材に関連する法改正の動向を常にチェックしておくべきだろう。改正のタイミングに合わせてリスト作成とトーク設計を行えば、通常より高い成果が期待できる。
まとめ
法改正をフックにしたSaaSテレアポのポイントは3つだ。
- 受付には「法対応の件」で入る: 受付が断れない理由を作る
- 担当者には権威と実績を示してから、相手の状況を確認する: 信頼の土台がないと話を聞いてもらえない
- 「間に合っている」と言われたら論点をシフトする: 法対応 → 業務効率化に切り替える
法改正は年に何度も来るわけではないが、来たときに準備ができているかどうかで成果は大きく変わる。テレアポチームとして、法改正カレンダーを作って計画的にアプローチするのがおすすめだ。
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