上場企業の役員にテレアポする方法—「株価」で響かせる提案術
役員アポが取れるテレアポと取れないテレアポの違い
上場企業の役員にテレアポ——聞くだけで胃が痛くなりそうなタスクだ。受付で止められるのは当たり前、仮につながっても「担当に回して」と言われて終了。
だが、某SaaS企業のテレアポチームは、上場企業の常務や取締役クラスに直接アポを取っていた。そのトークを分析すると、いくつかの明確なテクニックが見えてくる。
受付突破の鍵は「以前ご連絡した」と「部長名指し」
上場企業の受付突破は、テレアポの中でも最難関だ。ここで使われていたのが、名指し+過去のコンタクトを匂わせるアプローチ。
「弊社の○○というものが○○部長と以前ご連絡させていただいておりまして、またご挨拶でご連絡させていただきました」
ポイントは3つ。
- 部長の名前を出す — 事前にIR情報やLinkedInで管理部長や経営企画部長の名前を調べておく
- 「以前ご連絡」 — 完全な新規であっても、過去に別の担当がコンタクトしていれば使える
- 「ご挨拶で」 — 営業ではなくご挨拶。受付にとって断りにくい理由を作る
上場企業の受付は「新規営業を遮断する」という明確なミッションを持っている。だからこそ、新規営業ではないニュアンスを作ることが突破の第一歩だ。
役員につながったら「役職名」で呼ぶ
担当者ではなく役員に電話が回ったとき、やってしまいがちなのが「○○様」と名前で呼ぶこと。もちろん間違いではないが、役員には役職名で呼びかけた方が効果的だ。
「○○常務、お呼び立てしてすみません」
なぜか。役員は「常務」「取締役」という肩書きに対するプライドがある。名前より役職で呼ばれる方が、自分の立場を尊重されていると感じる。些細なことだが、電話の第一声で相手の気分が変わる。
「株価を上げる」は経営層だけに刺さるキラーフレーズ
一般社員へのテレアポでは「業務効率化」「コスト削減」が鉄板のフレーズだが、役員には経営指標に直結する言葉が必要だ。
某SaaS企業が使っていたフレーズがこれだ。
「上場企業の多くが『人を採用する』ことから『今いる人材を育てる』ことへシフトしている中で、どのようにAIを使った教育で株価を上げていくか——是非その辺りのお話を」
「株価を上げる」。このフレーズは部長以下には響かないが、経営層には直撃する。なぜなら株価は役員のKPIそのものだからだ。
ここで重要なのは、単に「株価」と言うだけでなく、市場のトレンド(人的資本経営、AIリスキリング)と結びつけていること。役員は「自社だけの課題」には動きにくいが、「市場全体のトレンドに乗り遅れる」ことへの危機感には敏感だ。
ネームドロップは「同業他社」より「知名度の高い異業種」
導入事例を伝えるとき、同業他社の名前を出すのがセオリーだが、役員向けには少し違う。
「手前味噌ですが、某大手航空会社さんとか某大手不動産会社さんでAIを使ったリスキリングや人的資本経営の支援を行っておりまして」
同業他社の名前を出すと「あそこがやってるなら」と動くのは現場マネージャーレベル。役員クラスは**「一流企業が採用している」という権威性**に反応する。航空会社、不動産大手、大手SaaS企業——業界は違っても、「あの企業が導入している」というブランド効果は大きい。
アポ取りは「担当→役員」の二段構え
役員に直接30分のアポを取るのは難しい場合も多い。そこで使われていたのが、**「弊社の役員から常務の方にご説明させていただきたい」**というフレーズ。
これには2つの効果がある。
- 対等感 — 「弊社の役員から」と言うことで、役員対役員の対等な関係を演出
- 特別扱い感 — 一般社員ではなく役員が説明に来るというのは、相手にとって「重要視されている」というシグナル
実際のアポ日設定では「○日と○日ではご都合いかがですか?」と二択で提示する。役員は忙しいが、二択なら「この日なら」と答えやすい。
上場企業テレアポのリスト作り
役員アポのテレアポで成果を出すには、リスト作成の段階で勝負が決まる。
- IR資料から経営課題を読む — 中期経営計画で「人的資本」「DX」に触れていれば、AIリスキリングの提案は刺さりやすい
- 役員の経歴を調べる — LinkedInや役員紹介ページで、テクノロジーに理解がありそうな役員を特定する
- 最近のプレスリリースをチェック — 「○○の導入で株価が続伸」のようなニュースがあれば、トークに織り込める
まとめ
上場企業の役員テレアポは、一般的なBtoBテレアポとはまったく別のゲームだ。受付突破には「名指し+以前のコンタクト」、役員トークには「株価向上」「市場トレンドへの乗り遅れ」、事例紹介には「一流企業のネームドロップ」——それぞれのレイヤーで使うべきフレーズが違う。
難易度は高いが、役員アポが取れれば商談の決定スピードが圧倒的に速い。現場担当から稟議を上げてもらう何ヶ月もの時間を、1本の電話でショートカットできる可能性があるのだから。
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